本の海

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書評 『アート×テクノロジーの時代 社会を変革するクリエイティブ・ビジネス』

友人に薦められて手に取った本書ですが、個人的に非常に刺激的な内容でしたので紹介したいと思います。

昨今、製造業界の大手企業がアジア企業に買収されており、
グローバル化の波がますます本格的に日本を飲み込もうとしているように感じます。
まさに今、日本の国際競争力が問われています。

そんな中、日本の伝統的な価値観や考え方と高い技術力を融合させ、
世界最高レベルのコンテンツを生み出す企業があります。
本書では、そのような企業として次の4つの企業を紹介しています。

  • チームラボ
  • タクラム・デザイン・エンジニアリング
  • ライゾマティクス
  • 寒川裕人とザ・ユージーン・スタジオ

恥ずかしながら、自分はこの内一つの企業しか存じ上げておりませんでしたが、
いずれも他に類を見ない素晴らしいアートを創造されていることが知れます。

本書は、次のような全体構成です。
それぞれ1章ごとにその代表作品やそれを実現するテクノロジー、
また創造されるプロセスや企業文化などを解説してくれます。
最後に、終章「最先端アートの過去・現在・未来」では、
これらの企業の創作活動と過去の芸術活動の共通点、
そして各企業の現在の取り組みと将来の構想を紹介しています。

あえて極端に言いますが、アートというのは、
「個人」が「絶対的感性」を「一方的」に表現するものというイメージはないでしょうか?

全てに当てはまるわけではありませんが、本書で紹介される各企業のアートは、
以下のような特徴を持っている点が、これまでのアートと根本的に違うように感じました。

  • チームで組織的に制作
  • ビジネスとして、問に本質的に答える作品
  • 鑑賞者とインタラクティブに創造

私自信が持っているアートのイメージを覆すものばかりで最も印象的でした。

ただし、筆者は最終章で、実は日本も古来から組織で芸術活動をしていたパターンもあると述べています。 そして、それが日本の伝統を活かしている部分であり、素晴らしい作品を生み続ける共通の要因ではないかと 考察しているところが逆説的で興味深かったです。

本当にいずれも素晴らしい作品ばかりです。
本書は、各作品の紹介部分にQRコードが載っており、
実際にその作品の動画を見ながら読み進めることができるのが本書の良いところです。
筆者の文章での紹介に想像を膨らませては、実際に映像を見る醍醐味があります。

そして、大体想像を超えます。

また、特にITに不案内な読者が躓かないように専門用語は丁寧に解説が脚注されているところも非常に親切です。

短い紹介ですが、是非手にとって読んでみていただければと思います。