本の海

書籍や読書に関する情報を紹介します

書評 『日本の人事を科学する』

2011年にブラット・ピット主演の『マネー・ボール』という映画が話題なりました。

その内容は、メジャーリーグの中で資金力もない弱小の1チームであるアスレチックスが
独自の手法で選手を採用し、強豪チームを作り上げていくというものである。

その独自の手法というのは、「セイバーメトリクス」と呼ばれるデータを元にした 優秀な選手の分析と定義を行い、それに基づいて選手を採用すると言うものである。

通常は、スカウトマンが選手を目利きしたり、打率や打点などの成績を見て、 主観的に採用かつその報酬額も決定していた。

ところが、アスレチックスは、そのような従来の方法に対し、チームの勝利に貢献する数字をデータから客観的に明らかにしました。
例えば、出塁率などです。他チームと違う観点で評価しているため報酬額もむやみに上がることなく、 チームの資金でもっともコストパフォーマンスの高いチームビルディングができたらしいです。
(参考:マネー・ボール - Wikipedia)

前置きが長くなってしまいましたが、
今回ご紹介する本は、まさに採用など企業の人事に関する課題に対して、科学的にアプローチすることを
テーマにした『日本の人事を科学する』です。

日本の人事を科学する 因果推論に基づくデータ活用

日本の人事を科学する 因果推論に基づくデータ活用

本書では、昨今話題になっている以下のテーマを取り扱っています。

  • 女性活躍支援
  • 働き方改革
  • 採用
  • 管理職評価
  • 離職
  • 高齢者雇用

今、企業の人事でこれらの課題について、データを元にして取り組みを決定したり評価している企業は、ほぼないと筆者は指摘します。 私もそんな企業あまり聞いたことがありません。

人事でデータの活用が進まない理由として、筆者は、人事部のスタッフが往々にして統計学などの馴染みのない文系人材ばかりとなるため、
と述べています。

しかし昨今、少子高齢化という社会問題を背景とした、共働き子育てや介護、人材の多様性などが喫緊の課題となるなか、
人事的取り組みとして効率的にこれらの問題を解決していくことが求められている状況にあるため、
科学的なアプローチが求められていると私は理解しています。

実際、最近はHR-Techという言葉が出てきており、人事の課題を主にITのテクノロジーを活用して解決していこうというトレンドがあります。

本書は、統計学や数学的知識が全くない人でも読みやすいです、とはお世辞にも言えません
ただ、それのあたりをわからないまま読んでも、課題の内容やその課題への取組を検討する際の考え方やアプローチの特性、必要な知識やスキルなどなどは理解できると思います。
それだけでも読む価値があると思いますが、やはり本書で親切に紹介してくれている参考文献などで統計的手法などから含めて最終的には深く理解することが重要であると思います。

各テーマの詳しい内容は、是非実際に本書を読んでみていただければと思います。

人事組織に所属されていて、主に経験と勘で業務がなされているなぁ、と感じている方は今まさに必読だと思います!